少年
2010年2月5日 00:26
先日、約1年ぶりに“少年”が来ました。
彼は、今年24歳。
星を持つ有名フランス料理店の福岡支店のレストランで働いていま
す。そのレストランは東京本社で大阪はもちろん、フランス、イタリアに
も支店があるほど、すごいお店です。
その少年が1週間ほどの休みを取って、宮崎に帰省し、その際にお
店に立ち寄ってくれました。年に1度はお店に寄ってくれます。
少年が、まだ調理師専門学校生の時にアルバイトとして、約1年間
ウチのお店を手伝ってくれてました。当時まだ19歳でした。
まだあどけない子供の様な顔つきで、まさに“少年”でした。
以来、ずっと“少年”と呼んでます。
少年は、いまどき珍しい程、
真面目、謙虚、控えめ、コツコツと熱心、静かに情熱的、底知れず
一所懸命、軽やかで、爽やかです。
(う~ん、ウチのスタッフはみんなそんな感じだ・・・よくもこんな感じの
いいスタッフが集まったもんだ・・・とよく思う。マジに。感謝。)
少年が、そのレストランの東京での最終の面接を控えたギリギリの
時期に「どうしても、そのレストランに行きたいんです!どうすればいい
ですか?」と僕に相談してきました。
いろいろ考えたあげく、僕が教えたのは、
まず、飛行機の乗り方・・・。
だって、初めて一人で飛行機に乗って初めて東京に行くって言うもん
だから・・・。東京の地図を広げて、地下鉄の乗り方も教えました。
飛行機は靴を脱いで乗りなさい。
スチュワーデスさんには、「宜しくお願い致します」って言いなさい。
地下鉄にはギャングがいる。
自動改札機は、ジャンプして乗り越えなさい。
東京の人と目が合ったら、逃げなさい。
生水は飲んじゃいけません。
宮崎弁は、通じません。特に「てげぇ(凄く)」は。
と、懇切丁寧にアドバイスした記憶があります。
ま~、彼なら70%は大丈夫かなぁ~って思ってたんで、駄目だったら、
そのレストランは人を見る目がないよって、面接の前に早々と彼を慰め
ていました。
そして、上京(この上京裏話もめちゃくちゃおもろかったケド、長くなる
ので割愛)。面接を終え、店に戻ってきてからの少年は合否通知までの
約10日はずっと顔が真っ青でした。
今日、明日にも合否の手紙が届くって日。ウチの仕事を終え、いつも
の通り青い顔して「お疲れ様でしたぁ~」と店をフラフラ出て行く少年。
その時、少年のお母さんから、電話!
手紙が届いた!
勝手に開けた!
勝手に読んだ!
合格!!
あの時の少年の顔!忘・れ・ら・れ・ん。まさに少年の顔!
スタッフみんな大喜び!
あの時、僕は独り密かに庭に出て、ちょっとだけ泣きました。
そんな少年はあれ以来3年間、ディセル(デザート部門)を任され、今
年の3月からポワソン(魚部門)に行くそうです。
上の写真の様なレシピも持ってました。全部、おふらんす語・・・。
彼と料理の話もしましたが、至るところにおふらんす用語が混じっていて、
知ったかぶりして、緊張しちゃいました・・・。
やべぇ~、負・け・ら・れ・ん!!
少年!頑張れ!
俺!頑張れ!